プラスマイナス、
「あいつは俺のこと友達と思ってなかったし、俺が何気なくスキンシップとしてやっていたことが、あいつにはストレスだったみたいで、ついには体を壊した。
教師や親を巻き込んで“友達辞めてくれ”って頼まれたよ。」
信頼しきっていたものの裏切り
それは僕の過去に少し似通っている。
「俺の嫌なとこ全部直すからチャンスをくれって頼んでも、聞き入れてもらえなかった。
そして俺はクラスで独りになった。
みんな事情を知ってて、バカな俺を後ろ指さしながらクスクス笑うんだ。そんな中でまた付き添う友達なんてつくれない。軽く人間不信になりかけたね。
だから中学入学と同時に引っ越して、同じクラスだった奴らと同じ中学には行かないことにした。
今度は一人に固執したりしない。みんなと仲良くなれればあんな目には合わないし、最初から独りなら、寂しくならない。そう決めた。」
彰は仰いでいた頭を下ろし、しばらく俯いた。
「引き立て役なんかじゃない…。楽しかったから、一緒にいたのに…」
彰がなにかぽつりと呟いたが、聞き取ることはできなかった。