プラスマイナス、
彰は少し腑に落ちないようだったが、表情を緩めいつもと同じように笑った。
「誠斗…、お前やっぱ転入生に惚れてんだろ?」
「なっ…いや、そんなんじゃなくて…!」
とっさに否定したけれど、彰はさっきまで泣きそうだったのが嘘みたいにクククと笑って僕を見た。
「しっかし無茶なこと引き受けたな~。かーなーり難しいと思うぞ、プラスィナーを探して集めるなんて。」
「…やるしかないよ。………だから、さっき言ってたマイナリーも、斎木さんに話さないでくれる?」
彰は斎木さん側の人だから、僕の願いなんて聞き入れてもらえないかもしれない。
それでもダメ元で言ってみたら、彰は明るい声で答えた。
「いいよ、マイナリーの準備はいつでもできるかんな。しばらく見物させてもらうぜ。」
どうやら僕のこの挑戦を楽しんでるようだ。
「それはそうとお前、あんな無茶な挑戦を受けたってことは、思い当たる人でもいんのか?」
「……まぁ」
歩く速度を速めて彰を追い越した。
僕は高科孤児院に向かった。