プラスマイナス、
そんなことを以前紘奈が言っていた気がするけど、斎木さんのことは言っていないらしい。
これはわりと好都合かも知れない。
「だから、良ければ孤児院のみんなと一緒に今から会ってくれないかな?僕、斎木さんのいる場所知ってるから…」
「子供たちも?それは良いけど……随分唐突だねぇ」
「き、緊急の話、なんじゃないかな…僕も詳しくは知らないけど…」
嘘をつくのは些か胸が痛んだ。
みなとさんは鋭そうだから見破られるのではないかと内心ヒヤヒヤしたが、うーんと悩んだ後「よしわかった!」と声をあげた。
「悩んでても斎木さんに会わなきゃなんにもならないもんね。いっちょ会ってみるか!幸い紘奈もいないしね」
交渉成立。
「んじゃちょっと車動かすから、まさくんはみんなを呼んでくれる?」
「わ、わかりました」
しかし騙してしまったことに尚胸が痛んだ。
でもこれも紘奈のためと言い聞かせ、院内の子供たちを呼び集めた。