プラスマイナス、
ふと、少し離れたところに木製のドアが見えた。
玄関前にあるいくつかの扉の中の一番こぢんまりしてるのが研修室だというのは昼頃に入ったから知っているけれど、その木製のドアは玄関から少し離れていて気が付かなかった。
あんな離れにあるぐらいだから、スタッフルームかもしれない。
斎木さんがいそうな場所だ。
僕はスリッパをパタパタと鳴らし、小走りで向かった。
ドアの作りはだいぶ古そうだ。アンティークと言えばそれっぽいかもしれない。
ドアを開けたら“キィィーー”と恐怖を煽るような音が鳴りそうだ。
僕はドアノブに手を掛けた。
「なにをしている」