政府より魔女へ
「名前を教えていただけますか?」

とジスは彼女をみつめる。

「魔女が簡単に名前を教えるとでも?」

彼女は無表情で返す。

「では名前には何か重要な意味が?」

ジスは負けじとほほ笑みを絶やさずに訊き返した。



「ではあなたの名前は?」

「ジス・バリコットと申します」

待ってましたと言わんばかりに答えるジス。

「きょ、きょくちょー!! なんてことを!」

「え? 何が....」

すると彼の体に異変が起きた。

右手が少しずつ乾いていき、そこだけが粉となって崩れていくのである。

「え゙っ!?」

「名前を知っただけで、私はあなたを呪い殺すことができる」

次の瞬間、手は元に戻っていた。

「今のは幻だけど、実際に可能よ。だから私は名前を訊かないし、教えもしない。たとえ相手が人間だとしても」

「というわけで局長、ここは引いてください」

ところが部下の言葉は意味もなく、

「俺はあなたが好きだ」
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