政府より魔女へ


―――――コツン…

短剣は落とされた。

そのあとに、ジスの黒い髪が数本切れて落ちる。

「これでも武術の心得がある」

ジスの抵抗は成功した。

そのことに魔女は残念そうで、仕方なく剣を拾う。

「そのようね。じゃあ、」

「「 !? 」」

「私が死んだらどうかしら」

彼女は自分で自分の胸を刺していた。その行動になんのためらいもない。

「何を....!!」

助けようとするジスの手を払って言う。

「これであなたたちは地底を恐れて死んでいくの。これこそ自然のためではなくて?」

「だからって自分の命を捨てるやつがいるか!」

彼女はにこりと笑って、彼に支えられる間もなくくずれ落ちた。

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