政府より魔女へ
二人は森を抜けようと、道のような所を歩いていく。
「あぁ、こっちです。たぶん」
すると目の前が明るくなり、自分たちは森から抜け出たのだと知った。
「あれ?」
七丘はキョロキョロと辺りを見回す。
「局長.....、ここは、彼女がいないと迷うんですよ。彼女が魔法で森のいたずらを止めているんです。だから、彼女がいない今、この森は.....」
ジスと七丘は顔を見合わせて再び森の中を駆け出した。
彼女は....生きている!?
彼女がいたはずのベッドには、その姿は見えなかった。
「いない......」
「局長! 血の跡が!」
足元を見れば、出入口へつづく血痕がしみをつくっていた。
二人はその跡を追う。
すると、木にもたれている彼女を見つけた。
「これだから人間は嫌なのよ。ずる賢くって」
彼女は苦笑いを浮かべるが、その息は荒く、汗をかいていた。
ジスはおぼつかない足取りでふらふらと歩き、膝をついて彼女を抱きしめた。
「よかった...」
彼女の体は冷えきっていた。
「あれ、抵抗しないの」
七丘は驚く。
「したくても治癒のせいで力が出ないわよ。その上森まで守っているんだから、これ以上どうしろというの」