政府より魔女へ
ワンピース一枚、昼間のような、死人の顔ではない彼女がふわりと舞い降りた。。

俺の前に立ち、地底生物に対峙する。

「モグラはおとなしくおうちに帰りなさい」

いうや否や、彼女は青い発光体を放つ。

あまりのまぶしさに俺は思わず目を瞑った。

変な大きい音がして、

しばらくすると、光も止み、地底生物はいなくなっていた。

「これで暴走は抑えられるはずよ。他の地底人もあれを受けるでしょうから」

「何の光.....?」

「鎮めの霊(タマ)。さっきのモグラに持ち帰らせて、地質を媒体に各地で暴れている仲間を鎮めるの」

「そ、そう」

精神面で余計に疲れたジス。

ふと気付く。

「人間は助けないはずじゃ...」

「そのつもりよ。だけどあいつらはマグマのふもとに棲んでいて、掘り返す度にマグマが地表近くに押し寄せているの。
もとはと言えば、あなたたちが環境のためとか言って地中に二酸化炭素を溜め続けていたからこうなったのよ。
研究結果じゃ影響はないみたいだけど、人間の理解の範疇を超えた事実って意外にたくさんあるのよ。たとえば私とかね」

「でもハニー、俺は君をもっと知りたい」

「さっきからハニーって失礼ね」

「だってハニーが名前を教えてくれないからじゃないか。どうせ俺の名前は知っているんだから平等に教えてくれたっていいだろ」

「あぁ、あなたの名前を忘れたわ」

「ひどっ」

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