政府より魔女へ
「あぁ、そうそう。下の階は一応無事よ。私の狙いはここへモグラを誘い込んで対処するためだから」

「なんでここ?」

「まだ気付かない? あなたに呪いをかけて、いわばエサにしてモグラを呼び寄せたんだけど」

「まさかそのために俺んち調べてくれたの? べつに訊いてくれたらすぐに教えたのに」

「調べてないわよ。調べなくても名前がその人の現在地を教えてくれるもの」

「よかった。てことは俺の名前忘れられていないんだよな♪
それで、ハニーの名前は?」

「‥‥‥‥」

「一生ハニーって呼び続けるぜ?」

彼女は部屋のドアに向かう。

「おい、ハニー‥‥」

彼女はドアノブに手をかけてジスを見る。

「お茶ならいつでもどうぞ。私はリラ。今度からはそれ以外で呼ばないで」

「それ本名?」

「さぁ、どうかしら」


いぢわるそうな笑みで去っていく魔女、リラ。



俺は、

彼女の寂し気な瞳に


―――恋をした 。






【地底人Μ】終
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