政府より魔女へ
挿話「無情の異端者」
「母さま、私たちはどこへ行くのですか」
少女は訊ねた。
「私たちだけの場所へ行くのですよ。よくお聞き。私たちが今まで使ってきた力を、人間は恐れはじめたの。だから、着いたら、そこから離れてはなりません。ずっと、私たちはそこで暮らすのです。私たちは、魔女だから」
「ここにいてはならないのですか?」
「愛しい子よ、あなたが傷つくのはいやよ」
人間はあなたを苦しめる。辱(ハズカシ)めを受けるのはあなた自身。
あなたはきっと後悔する。
「力を使わなければいいのでしょう?」
そうすれば.....
幾度と夢に見る少女。彼女は人間に恋をし、愛され、けれど魔女であることがばれ、その身を引き裂かれた。
愛しい男に見捨てられ、その目の前で。
「助けを乞うがいい! それだけでも気はまぎれようぞ。報いを受ける日はやがてくるのだから―――」
呪い死んだ少女。
彼女は魔法で腹の子だけは守った。
“ひっそりと暮らして。
心は常に、無情、非情。
仲間と一緒でもいい。
この森で暮らしてもいい。
だけど覚えておいて。
ここは人間の手に触れさせてはならない。
あなたは人間から守るべきものを守っていくの。
それがあなたの生まれた意味。
そのために、私はあなたを守りましょう。”
私は一人でいい。
ずっと一人でいい。
生まれたときから、
あるのは魔法とこの森だけ。
そもそも私は、魔法で生まれた異端者。
処女から生まれたおかしな魔女。
私はずっと、一人でいい 。
【無情の異端者】終
少女は訊ねた。
「私たちだけの場所へ行くのですよ。よくお聞き。私たちが今まで使ってきた力を、人間は恐れはじめたの。だから、着いたら、そこから離れてはなりません。ずっと、私たちはそこで暮らすのです。私たちは、魔女だから」
「ここにいてはならないのですか?」
「愛しい子よ、あなたが傷つくのはいやよ」
人間はあなたを苦しめる。辱(ハズカシ)めを受けるのはあなた自身。
あなたはきっと後悔する。
「力を使わなければいいのでしょう?」
そうすれば.....
幾度と夢に見る少女。彼女は人間に恋をし、愛され、けれど魔女であることがばれ、その身を引き裂かれた。
愛しい男に見捨てられ、その目の前で。
「助けを乞うがいい! それだけでも気はまぎれようぞ。報いを受ける日はやがてくるのだから―――」
呪い死んだ少女。
彼女は魔法で腹の子だけは守った。
“ひっそりと暮らして。
心は常に、無情、非情。
仲間と一緒でもいい。
この森で暮らしてもいい。
だけど覚えておいて。
ここは人間の手に触れさせてはならない。
あなたは人間から守るべきものを守っていくの。
それがあなたの生まれた意味。
そのために、私はあなたを守りましょう。”
私は一人でいい。
ずっと一人でいい。
生まれたときから、
あるのは魔法とこの森だけ。
そもそも私は、魔法で生まれた異端者。
処女から生まれたおかしな魔女。
私はずっと、一人でいい 。
【無情の異端者】終