政府より魔女へ

空。そして雨は降る

リラは何も話してくれなかった。

俺は、彼女の力になりたい。

けれど、俺は無力で、おろかな人間だ。彼女の嫌う人間だ。

でも、なんだか彼女が、心のどこかで人を愛しく思っているように見えるのは、なぜだろう。

そして、何をそんなに憂いているのか。


森の出口で彼女は言う。

「いつまでも、魔女が助けてくれると思わないで」

冷たい言葉のはずが、なぜこんなに苦しんでいるように聞こえるのか。

電流に負けない強さが欲しい。

そうしたら、彼女を抱きしめられるのに....

ゴム....そうだ。ゴムで全身を―――

「ジス、森へ」

急に、俺を安全へと導く。

何かと思いきや、頭上でいやな鳴き声がする。

「タカが来た!」

「ジス! 森へ」

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