政府より魔女へ
その剣が刺したのは、他でもない、リラだった。
「リラ!」
剣が抜かれる。けれど、血も出なければ、彼女が倒れることもない。
「これでわかったろう。これは生きていない」
女は言う。
「リラ.....」
「平気よ」
「.....どういうことだ....? だって、前は、血が.....」
「あれは魔法で創られた剣。それでも死ななかったでしょう? これは普通の剣。魔法(わたし)には効かない」
「でも魔法が魔法を使うなんて」
「私を増長させているだけ。だから魔女ではないし、人間という生物でもない」
そしてリラは女に向かう。
「それで、私に何の用? 世界中に魔法をばらまき、私を抑制して人間を滅ぼしたいわけね。それで私をどうするの」
「おまえは余計なことをしすぎた。我らはおまえにここを守らせることにしていたが、どうやら人間を守っているようだ」
「私が守っているのは地球よ。」
「ではなぜ人間は生きている!? 人間の死こそが地球のためだろう」
「私だって人間が滅びることに賛成よ。だけど、私は彼らにごく自然に滅んでほしいと思ってる。タカを使って故意にしようとは思わない」
「そうさせたのは誰だ? 地底人の来訪で、地球は再生されていたかもしれないのに」
「笑えるわね。まさか地球をマグマで覆わせるつもりだったの? そんなの、全てを終わらせたからと言ってまた自然が生まれてくるとは思わないわ。
私は、これからの地球に望みを託している。人間は自然に生まれた。なら自然に終わっていく。私たちは、それらから自然を守るだけで十分ではなくて?
むしろあなたたちの方が自然に逆らっているわ」
「リラ.....」
人間に、自然を、地球を任せるってことか...?
終わりがくるまで、害がないことは尊重し、あれば妨げていこうと?