政府より魔女へ
***


「リラー! 会いたかった」

メルンが飛び付く。

「いらっしゃい。まぁ、可愛らしい赤ちゃん」

七丘の抱いている赤子に頬笑む。

「飛鳥って言うんだ。」

「いい名前だわ。ところで私にこの子の名前を教えていいのかしら」

うっ、と七丘はことばにつまる。

「冗談よ」

「リラ! きみのは冗談に聞こえないよ!」

そんな三人の許へ、家の中からジスが出てきた。

「お湯沸いたぞ」

「あら、どうも」

リラが中に入ると、ジスは二人に愚痴った。

「てっきり俺だけがお茶に誘われて、甘い一日を過ごすかと思ったのに....」


「「ありえないでしょ」」

「五月蠅い」


「早く入って。ベビーベッド用意したからね」

リラが顔を出す。

「ありがとー」

「お邪魔しまーす」

「リラのばか」

「誰がばかなのよ」

三人それぞれに中へ入っていった。

リラだけが、外の空気を吸っている。

森は、元の青々しさを取り戻していた。



最近の空は良好だ。


彼女は、また頬笑んだ 。





【最終話「魔女R」】終

【政府より魔女へ】完
< 53 / 54 >

この作品をシェア

pagetop