もう一度。
信号が青に変わる。
笠井柚梨、体育の成績は3。
全力疾走します!
また強く地面を蹴る。
間に合わなくても間に合わせようとした努力ぐらいわかってくれるでしょ?
一歩踏み出したその時。
体がフワッと宙に浮いた。
そしてストンと何かに着地。
「遅刻すんぞ、柚梨!」
「蒼!?」
あたしが座っているのは蒼の自転車の後ろ。
「…ってことは、さっきの運転荒いチャリって…?」
「俺だよ。柚梨乗せようと思ったら急に止まるし横に避けるし全力疾走しようとするし…!」