もう一度。
「卑怯なやつめッ!お父さんはこんなやつに育てた覚えはないぞ!」
コツンと頭をつつかれる。
一瞬だけ触られた部分が熱を持ったように思えた。
でもそれは“一瞬”でそんなの気のせいだって思ってた。
「育てられた覚えなんてないよーだっ!」
「大事な幼なじみに変な虫がつかないように幼なじみ君が見張ってやる!」
腕を組んで自慢気に笑った。
「あ、早速変な虫が~!なんてね。あたしも好きな人できたら真っ先に聖に言うね」
好きな人なんて決まってるようで決まってない。
“蒼が好きか”と聞かれたら“好きじゃない”と答えるでしょう。
“蒼が嫌いか”と聞かれたら“嫌いじゃない”と答えるでしょう。
“じゃあ蒼は普通か”と聞かれたら“普通じゃない”と答えるでしょう。
特別な存在でもどうでもいい存在でもない彼は一体あたしの中の何を変えたのだろう。
自分の気持ちがわからないまま幼なじみ君の買い物に付き合う。
入ったのはアクセサリーを専門とする店。
店内にはキラキラとしたアクセサリーが並んでいる。
「うっわー、一面ピカピカ!」