もう一度。




「お、おう!偶然だなぁ!」


聖が軽く手を挙げる。


蒼も無言で手を挙げる。


「2人で何やってんの?」


「あぁ、柚梨に買い物付き合ってもらってんの」


「…あっそ。てっきりデートかと思ったよ。もう俺はいないしね」

ガッタン!
ものすごい音と共に聖が立ち上がった。


「…おい、ふざけんなよ。柚梨がお前と別れて清々したとでも思ってんのかよ!」


「だってそうだろ?別れた途端遊びに行くんだからなぁ」


イヤミ…。
何。何で?
意味わかんない。


「…もう、さ、ほっといてよ。あたしが誰といようが全然関係ないじゃん!イヤミとかさ、言われる筋合いなんてないの!
…早くあの女の子の所行けば!?
さっきからずっと見てるよ?連れでしょ?
人のことなんて言えないじゃん!」


店の外にいた白いワンピースに小花柄のカーディガンを羽織った子が勢いよく店に入ってきた。


…やっぱり、連れなんだ。


「ねえ蒼、もういいじゃん?元カノ、新しい彼氏いるんでしょ?
早く行こう!予定時刻すぎちゃうよ」


「…あぁ」


女の子は蒼に腕を絡めて甘えた声を出した。


「早く行けよ!」


あたしは蒼とあの子を無視してキャラメルラテをまた飲み始めた。


チッと舌打ちをした後、イラついた表情の聖。


「さと…」
「何なんだろうな、あいつ」

あたしの言葉が聖によって遮られる。


「自分、新しい彼女作ったくせに幼なじみの俺らに突っかかってくんなって感じだよな。大体予定あるなら俺らで時間無駄にするなっつの。
あいつのせいで俺らの時間も無駄になってんだからよ」



ブツブツと言葉を止めることなくしゃべり続ける。


「まあまあ。もう好きじゃないやつのことはどうでもいいんだから」


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