もう一度。
「さっきからニヤニヤしてると思ったらそんなこかよっ」
聖があざ笑うように見下ろす。
「きゃー、こんなイケメンの彼氏あたしには勿体ない!本当に!」
そうだよ!
君ね、イケメンなんだから!
片手で顔を隠して聖はいちいち恥ずかしがる。
面白い奴め…。
「あのさぁ、正直言うと、一緒に歩いて恥ずかしいの俺なんだけど…。
柚梨さ、ガキのころから思ってたけど……か、可愛いんだよ…」
夕日があたっているのか聖の顔がとても赤い。
なれない言葉を言われたあたしの顔も多分赤い。
「聖君、この際だから言うけど、幼稚園のころあたしを除く女の子全員が君のことを好いていたんだぞ!」
「そうか、じゃあ俺も言うけどな、小5の時クラス1のイケメン、佐藤太一はお前のことが好きだったんだよ!
なのに柚梨ときたらその時『亜美ちゃんが太一のこと好きなんだって。亜美ちゃん、どう思ってる?』なんて言いやがって!
好きな女子にそんなこと言われたら何も言えねーだろ!」
あぁ、確かに口ごもってたな。
「中1のバレンタインチョコ、全部あたしに押しつけたくせに!
全部手紙付きだったんだからね!
あー、可哀想!」
「甘いな。中2のバレンタインは柚梨の机ん中、チョコ入ってて、誰かと間違えたんだろうと思ってお前
“学年でチョコ貰いそうな奴No.1”
の投票して俺んとこ持ってきただろーが!
あれは柚梨への逆チョコだったんだよ!」