もう一度。
「……柚梨さぁ、蒼のことまだ好きなのか?」
言葉がストレートに胸に刺さった。
「ぜーんぜん。あたしが好きだったのは今の蒼じゃないから」
あんな冷たい言葉を投げかけた蒼なんか好きじゃない。
辛いだけ。
「あれが初恋だったのに?」
「はぁ!?何言ってんの?あたしの初恋は蒼じゃないよ?」
あたしの初恋は…、友達の為に……捨てた。
とっくに捨てた初恋。
あの記憶はもう、あまりない。
「まじで?俺ずっと蒼が初恋だと思ってた!」
いやいや、初恋が中2って…さすがに遅いでしょ。
って思ったけど、今回は本当に心の中だけで呟いた。
その時、歩道橋の上から切なげな視線を感じることは、今のあたしには無理だった…。
「はい、着いたー。じゃあ、また明日学校で」
「ごめんね、ありがと!」
「お前その顔男、殺せるぞ…笑」
何言ってんだか。