もう一度。
次の日の学校は、行くことさえ辛く感じた。
「柚梨おはよーう」
「あー、おはよ聖」
ふと、蒼の姿を探してしまった自分がいた。
見られることが嫌だった…。
「おはよう」
怯えていた存在が姿を現した。
怯える必要なんてないのに、何故か怯えた。
「おーっす!あーおい!あのさあのさ、聞きたいことあんだけどもしかして彼女できた…?」
蒼の表情が変わった。
それは恥ずかしがっているのか、ばつが悪そうにしているのかは今のあたしにはわからなかった。
でも、その反応は照れているんだろうなきっと。
「いやー、見ちゃったんだよね、ワンピースの女の子といるところ…」
「まじい?見ちゃったか」
「おお?ってことは…?」
「わりい、こっから先は…な?」
「ふーーーーう!」
ニヤついた蒼を見て傷つく自分がいたこと、そんなのとっくの昔に気づいてた。
素直におめでとうと言えないあたしの性格の悪さ、最低。
「…てことは、俺と柚梨が昨日見たあの子が彼女ってこと!?」
聖がわざとらしくふざけたように言う。
わかってるくせにねー。性格わっるいなあ、まったく。
「え、ちょっと待てよ…?聖、お前笠井と一緒にどこ行ってたんだよ~?」