空から見る音の粒

1:歌姫


駆け足で教室に向かう。
なぜなら、授業に遅れそうだから。
5分前の自分を呪いたい。
いや、10分前の私もだ。

あーもう、最悪。
休み時間中に寝てしまった。
昨日の夜更かしが祟ったのか。
今日は異様に眠気が私を誘った、気がする。

『ひゃあっ!?』

何かに躓いた。
顔と床がくっつく。
痛い。
私は、静かに身を起こして躓いた物を見る。

『…本?』

こんな物に躓いたのか。
それを拾いあげる。
どこかに名前が書いてないか探してみると、ご丁寧に名前が書かれてた。

『白雪 灰』

読み方は多分、シラユキ…カイ?
ふーん…白そうな名前。
学年は、書いてないか。
放課後職員室に届けに行けばいいか。

『って、授業!』
 
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