願いの館
そのまま、沈黙が流れた。


でも、その空気は嫌な空気じゃなくて、やんわりとした空気。


だから、リーアさんに何も言わなかった。


「あ、ごめんなさい。お客様の前で泣いちゃうなんてダメね」


リーアさんは優しく微笑む。


「そんな事無いですよ。泣きたい時に泣けばいいんですよ」

「ありがとう。でも、もう大丈夫。本題に戻りましょうか」


リーアさんは、最後の一言で真剣な瞳になる。


「そうですね。友達とはどういう存在か?その話をしていましたね」

「でも、貴女が言いたい事はそれじゃないでしょう?」


リーアさんは何でもお見通しと言う顔で言う。


何もかもを見透かされてるような気分だった。


それが嫌じゃないのはリーアさんだからだと思う。


理由になってないか。


でも、リーアさんは心に温かいモノを持ってるから。


だから、嫌じゃなかった。


「分かっちゃいましたか」


あたしがおどけてみせると、リーアさんは小さく笑った。




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表紙・目次

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