恋スル手紙
伽羅は、何の不思議もないように答えた。


「ん、純君からだよ」


またあの人か、と直樹は諦めのため息をつく。
純君とは、このアパート“三四郎荘”の一号室に住む人だ。趣味は人間観察という、かなり普通ではない人。


ちなみに三四郎荘は全部で四室有り、伽羅は三号室、直樹は五号室である。


「分かりましたから、取り敢えず離れませんか?」


直樹が問い掛けると、伽羅は無邪気な笑顔で返す。


「ん、何で〜」

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