恋スル手紙
話始める前に必ず首を傾げるのは、伽羅の癖なのだろう。
何も知らない人が見たら、いや、知っている人が見てもその仕種は可愛いく感じるだろう、と直樹は思った。


でもその仕種も、現在体に当たっている伽羅の柔らかな胸にも、直樹は何も感じない。


「おもいっきり当たってますから。胸が」


「知ってるよ。わざとだもん」


抱き着いている伽羅を、力任せに引き剥がす直樹。
伽羅の頬が膨らむのが分かった。
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