恋スル手紙
「ねこさん?ナオ、ねこさんだ〜」


ぶら下がり手足をバタバタさせながら、キャッキャと喜ぶナオ。
直樹は顔を近づけて、話し掛ける。


「ナオ、ママはどうしたのかな?」


「ママ〜?……寝てる」


その答えを聞いた直樹は、ナオをぶら下げたまま廊下を挟んで向かいにある引き戸を開けた。


「栞さん! 困りますよ」


芋虫のような布団の中から、「ん〜〜」と伸びをする声が聞こえる。
直樹は、その名前をもう一度呼んだ。


「栞さ〜ん」
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