恋スル手紙
呆気にとられる直樹を見ながら、話続ける栞。


「で、フラれたんだって?」


「なっ、なんで栞さんまで知ってるんですか?」


決まってるじゃん、と言いたそうな顔。たばこの横にあった携帯を持ち上げ、画面を見せる栞。


“直樹ニュース! ラブホから早々に一人で帰宅。誰か慰めてあげて”


それは一号室の中沢 純からのメールだった。


片手で額を押さえ、苦悶の表情を見せた直樹はそのまま目の前の引き戸を閉めた。
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