恋スル手紙
えっ、と思い上体を起こすと、鍵を掛けたはずの引き戸が大きな音を立てて開いた。
ずかずかと入ってきたのは、ぶかぶかのTシャツにホットパンツという格好をした栞だった。


「お邪魔しま〜す。ってゆーかさあ、鍵かける意味あんの? 一々、面倒なんだけど」


今にも灰が落ちそうなたばこをくわえ、片手にはヘアピンをチラつかせる。


「ここは、プライバシーとかデリカシーって言葉はないんですか? 第一、不法侵入ですよ!」
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