恋スル手紙
「……終わったの?」


直樹は二度程口をパクパクとさせ、恐る恐る声を出す。


「イヤ、まだだけど」


彩香は目を閉じ、一度大きなため息をついた。
次の瞬間には彩香と直樹の間に割り込んだ手が、強引に直樹を押し退ける。


バランスを崩した直樹はドスンと尻餅をつき、情けない声で彩香に話し掛けた。


「ちょっ、彩香?」


彩香はまるで聞こえてないかのように、その呼び掛けを無視した。すでにベッドから降りていた彩香は、バックの中から無造作に携帯を取り出すと、どこかに掛け始めた。
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