恋スル手紙
「元気になるかなって思ってね」


「なる訳無いじゃないですか、今はそんな気分じゃないんです」


栞が憤る直樹に声をかけようとするが、その表情に遮られる。


「僕……」
「もうほっといて下さい!」


直樹の瞳は滲むものを抑え切れず、涙が溢れ出そうとしていた。


「お願いです。独りにしてください……」


片方の瞳から、ついに涙が零れ出した。
それを見た栞は、無言で立ち上がり背を向ける。
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