恋スル手紙
引き戸に手をかけ、振り返る栞。
ベッドの上には、天井を仰ぐように仰向けに寝転がる直樹。


「……さっきの、イヤだった?」


無言で首を縦に振る直樹。


「それと一緒でね。セックスにも相性があるんだよ。だから、僕が男としてダメってことはないからね」


栞がそれを言い残すと、静かに引き戸が閉まった。
し〜んと静まる部屋に、直樹の独り言が虚しく響いた。


「だからって、フラれた事実は変わらないよ」
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