恋スル手紙
「白々しいよ。全部聞こえてたくせに」


「ん、バレてるみたい?」


伽羅が首を傾げて、ニコッと笑う。


「伽羅だって、平手喰らわせたんじゃないの? 僕の頬、赤くなってたけど」


栞が自分の左頬に手を当て、ピチピチと音を立てる。
“え〜!”と言いながら、伽羅が廊下に出て来た。


「私、そんなに強く叩いてないもん! あっ、そうだ。それじゃあ、お見舞いしてあげなきゃ」


ウキウキとしながら五号室に歩み寄る伽羅。
そのキャミの裾を掴む栞。
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