恋スル手紙
ガチャッと音がして、階段上の廊下に影が射す。


直樹は影の主に対して、ため息をつく。何故ならこれから出て来るであろう“伽羅(キャラ)”は、直樹の天敵とも言える人物だからだ。


「お帰り〜!」


これでもか、って言うぐらい酒焼けをしたようなハスキーボイスが、直樹の耳に届く。
直樹がうなだれながら階段を昇りきると、待っていましたと伽羅が抱き着いた。


「早かったね。今日は直樹デートだったんでしょ?」

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