Escape from the DEAD second night
「そうか。それはよかった」

商品棚の商品を手に取りながら。

「来生、要はお前に任せる」

紅は振り向き様、鮮やかな笑顔で言った。

「えっ…」

それはいわば、要を巡る争奪戦における紅の敗北宣言。

呆気ない、そして意外ともいえる幕切れに、芹は戸惑いを隠しきれない。

…が、紅にしてみれば来るべくして来た結末だった。

思い出す。

芹だと思い込んでいたあの少女のゾンビと遭遇した時の要の慟哭。

少女のゾンビの首を刎ねた時の要の激昂ぶり。

いや、あれだけではない。

芹にかかわる要の全ての行動。

紅はずっと考えていた。

あれは、相手が芹だからこその行動なのではないかと。

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