Escape from the DEAD second night
野太いエンジン音を立てて国道を走るアストロ。

…車窓の外には、どこにでもある街の風景に、かつて見た事もないような惨状が重なっている。

黒煙を上げる遠くの街並み。

電柱に激突して炎上する乗用車。

壁やアスファルトを汚す血痕。

当たり前のように路上に転がったままの死体。

きちんと五体が揃っている死体ならばまだマシだ。

中にはどこかの部位が欠損しているもの、或いはどこかの部位だけ千切れて落ちている事さえあった。

野晒しにされたままの亡骸を、不憫に思う。

しかし弔ってやる事はできない。

あれが本当に『ただの死体である』保証はない。

迂闊に近づけば起き上がってきて、こちらに食らいついてくるかもしれないのだ。

無視して早々に通過するしかなかった。

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