Escape from the DEAD second night
話し合いの場すら設ける気はない。

「…わかったよ…」

助手席のドアに手をかけ、男に背を向ける要。

…その、男から見れば死角の位置で、要は準備を整えた。

男は油断していたのだ。

まさか…。

「!!」

要がトカレフを持っているとは思ってもみなかったのだから。

振り向き様にトカレフを抜いた要は、その銃口を男に向ける。

「な…!」

「紅さんを放せ。でなければ撃つ」

「ど…どうせ偽物だろ…?…モデルガンか何かに決まってる…」

そう言いつつも劣勢に立たされた事は認識しているのか。

紅にも伝わるほどに、男は狼狽していた。

「試してみるか…?」

要がトカレフの撃鉄を起こす。

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