Escape from the DEAD second night
やっと見つけた獲物だ。

逃がすまい、必ずや食らってやろうと、無数の腐乱した手が伸びてくる。

それは地獄へと引きずり込む亡者の誘い。

死者の仲間入りを果たせという手招きであった。

「触るな!触んないで!」

レミントンM700を鈍器として振り回してゾンビ達の手を払い除け、最後には投げつけて。

芹は必死の形相で走る。

ポニーテールを振り乱し、汗と涙を撒き散らしながら、形振り構わず走る。

死にたくない!

死にたくない死にたくない死にたくない!

生物として当然の感情を剥き出しにして、いまや屍の巣に変わり果てた地下街を必死に逃げ続ける。

「あそこだ!」

小川が走りながら指差した先に、階段があった。

地上へと通じる階段。

昇り切れば、この悪臭漂う地下から脱出が出来るのだ。

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