Escape from the DEAD second night
…随分と命中するようになっていた。

屋敷を取り囲む高い塀。

その上に立ち、要は銀色に輝く自動拳銃を握り締める。

トカレフTT-33。

ロシア製の自動拳銃で、使用する7.62ミリトカレフ弾は、並の防弾チョッキでは防ぎきれずに貫通するという威力を秘めた代物だ。

ゾンビ相手には十分すぎるほどの効果を発揮する。

後はそれを使いこなせるだけの技量のみ。

ここ数日、要はこうして射撃の訓練に時間を費やしていた。

逃避行の最中、要達を匿ってくれた仁義に篤いヤクザの組長の屋敷。

彼らはここで、無法地帯と化した世界で生き抜く為の武器と技術を与えられた。

最早法と秩序を守っているだけで平和を謳歌できる世界は崩壊した。

己を守ってくれる者など世界には存在しない。

己の命は己で守るしかない。

この世界は、そういうものに変わっていた。

< 5 / 132 >

この作品をシェア

pagetop