Escape from the DEAD second night
「いいから昇りなさいよ!早く!早くぅうぅぅっ!」

ヒステリックに怒鳴る芹。

苛立ちにその場で地団駄さえ踏んでしまう。

早くしないと追いつかれる!

あの群れに飲み込まれたら、如何に銃を持っている小川でももう逃げられない。

だが小川は。

「君だけ逃げろ」

そう言って銃を持っていない、左腕を掲げた。

………肘から先がない。

「っっっっっ!」

その惨たらしい姿に、芹は口元を覆って絶句する。

食い千切られたような傷痕、露出した骨、今も尚流れ落ちている血液。

先程、芹を救出した時に受けた傷だろうか。

あの重傷では、遅かれ早かれ出血多量は目に見えていた。

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