Escape from the DEAD second night
「手当て…手当てを!」

階段を駆け下りようとする芹の足元に。

「!!」

小川は発砲した。

階段に命中して火花を散らす弾丸に、芹は思わず立ち止まる。

「君は行け。手当てなど無意味だ」

「出血さえ止めれば、まだ助かる望みは…」

「わからないのか。『手当てなど無意味だ』」

悟り切ったような表情で呟く小川。

その言葉の意味を、芹はようやく理解した。

…小川は腕をゾンビに食い千切られているのだ。

傷口からウイルスが入り込んでいる。

彼は既に感染している筈だ。

例え僅かな傷でも、感染した者はゾンビ化する。

そしてその感染を防ぐ手立ては、現在存在しない。

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