Escape from the DEAD second night
小川が持っていた89式小銃を芹に投げ渡した。

「まだ幾らか弾薬が残っている。持って行け」

そう言って彼は僅かに俯いた。

「自分にはもう必要ない」

…ゾンビになって芹を襲ってしまうくらいならば、ここで死ぬ。

小川の言葉にはそういう意味が込められていた。

「………っ」

動けない。

芹の足は動かない。

どうしてこのまま逃げられるだろう。

要達と別行動をとり始めて、ゾンビに殺されかけていた芹を助けてくれた小川。

言うまでもなく命の恩人だ。

短い期間だったが、行動を共にした。

仲間意識だって持っていた。

なのに…!

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