Escape from the DEAD second night
「安全な場所まで君を送り届けると約束したが…違える事になったな、すまない」

泣き言ひとつ言わず、小川は芹に詫びる。

その言葉が芹の涙を誘った。

「本当は…」

芹を見つめながら小川は続ける。

…その目から、涙が零れ落ちた。

「ゾンビ達に食われる前に命を絶って欲しいのだが、まだ若い君に殺人を強いるのは酷だな」

「……っっ…!」

その言葉で芹は知る。

小川だって怖いのだ。

死ぬ事、ゾンビに食われる事、人間として死ぬ事さえ出来ない事。

それでも尚、彼は芹の事だけを案じていた。

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