Escape from the DEAD second night
駐車した車から離れ、要と紅は校舎の方へと向かう。

…避難した生存者達は、各々の場所で休息なり生活なりをしている。

ゾンビには噛まれなくとも、逃げる途中で転倒したりして怪我をした者、やむにやまれず家族を、友人を、恋人を見捨ててここまで逃げてきた者、共に逃げていたにもかかわらず混乱の最中に親しい者を見失った者。

それぞれ様々な事情を抱えて、ここに避難してきた。

無論、そんな者達はまだいい。

親しい者達が生存している可能性もあるのだから。

…校舎の中、廊下の隅に蹲っている男性を見つけた。

彼は目の前で家族がゾンビ化するのを目撃した。

剥き出しにした眼球から血涙を流し、鶏を絞め殺すような断末魔の声を上げ、見る見るうちに土気色の肌へと変色していく愛しい家族。

自分の事を忘れ、ただの『肉』としか判断できなくなった身内を、この男性は自らの手で屠ってこの学校に避難してきていた。

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