Escape from the DEAD second night
仲違いしていても、直前までいがみ合っていても。

要と紅はその瞬間に、即座に同じ行動に移った。

数の差は歴然だ。

戦った所で押し切られるのは目に見えている。

二人が選択したのはその場からの離脱。

素早く踵を返し、走り出す。

…こんな時、要は自分が『かつての自分ではなくなった』と自覚する。

絶望の淵にいても、悲しみの底に沈んでいても、追い詰められた時は生きる為に最善の行動を選択する。

時には生存者をも葬り、時にはかつての仲間をも見捨て。

自分がこの『終わった世界』で生き抜く為の戦士の素養を身につけ始めたのだと自覚する。

それは同時に、あれ程嫌っていた『何かを得る為に何かを切り捨てる』という考え方を身につけたという事。

奇しくも目の前を走る、紅と同じ考え方を身につけたという事だった。

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