君色

仲間



そんなある日。



「いってきまーす」


いつものように妹の、葉月(はづき)を学校に送り出し、私は朝の食事をとっていた。


一人でこうして何も考えずにいる事が一番楽な時間だった。

なにか考える度『忘れてしまったら』と考えざる終えなくなるからだ。

だったら最初から何も考えない方が楽なのだ。


「ふぅ」


一息ついてから洗濯を済ませようと、ベランダに出る。

因みに家は築30数年のボロ団地で、更に曰くつきの為、家賃は格安なのだ。

それでもトイレとお風呂は別、キッチンもあり、おまけとして家具を少し貰えたり、ベランダも家族2人なら充分な広さだった。


私は洗濯機に2人分の少ない衣類を入れて、洗剤を入れ、スタートボタンを押す。


病はこんな些細な場面でも発症して、スタートボタンの位置なんかを一瞬考えたりもする。


洗濯のガタガタと言う音を聞きながら、無心でベランダから外をぼんやりと眺める。


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