涙のスイッチ
「そう。あら、そういえば京子達、晩ご飯は?」


「まだ食べてないの。時間潰しちゃうと田舎は夜のバスがなくなっちゃうから」


「ありあわせでいい?」


「うん、お母さん、お願い」


少し待たされて、おばあちゃんは湯気の立ったアツアツの鍋焼うどんをあたし達に用意してくれた。


半熟の玉子入りの鍋焼うどん。


体はポカポカするけれどあたしのココロは麻痺したまま。


「どう?」


「うん。おばあちゃん、おいしいよ?」


嬉しそうに笑うおばあちゃん。


ママは泣きながら鍋焼うどんをすすった。
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