涙のスイッチ
「明日も会いたいけど、部活、始まるんだ」


「うん。迪也くんはそのためにこの学校に来たんだから。あたし、応援するね?」


「夜には必ずメール入れるから」


「うん。待ってるね?」


「美和…?」


「なぁに?」


「美和にはオレ以外、見える?」


「迪也くん以外…?」


「いや、別にいい。また土日には少し時間取れると思うから。じゃあ、またな」


「うん、バイバイ!」


別れても残る迪也くんの手のぬくもり。


温度を逃さないよう、ぎゅっと手を握り締めた。


まだ肌寒い春の夜、あたしのココロは温かかった。
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