涙のスイッチ
その日の夜。


あたしは迪也くんのメールを待ってケータイを鳴らした。


『美和?』


「ごめんね、今、大丈夫?」


『OK。珍しいな、美和から電話なんて』


「なんか…。声聞きたくて…」


『そっか。最近、野球ばっかで会えないもんな?』


「うん…」


『あ、そうだ。あのさ、4日の日、空いてる?』


「…4日?」


熱海の旅行から帰って来る日だ。


『うん。隣の高校と練習試合あってさ。オレ、ちょっとだけど投げさせてもらえる事になったんだ』


「えっ!スゴイ!!」


『都合がつけばなんだけど、見に来れる?』


「行く、行く!絶対行くからっ!楽しみにしてるっ!」


『試合、午後からだから。でも、あんま期待するなよ?オレ、バタバタ打たれるかもしんねぇし』


「ううんっ。迪也くんが投げれば絶対勝てるよ!」


『美和にそう言ってもらえると気合い入るよ。それより美和は?何か話あったんじゃねぇの?』


「あたしのは…大した用じゃないから、いいの。試合、頑張ってね?あ、でも練習でケガとかしないように気をつけてね?」


『うん、サンキュ。じゃ、4日楽しみにしてるから。おやすみ』


「うん、迪也くん、おやすみっ」
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