涙のスイッチ
「美和ちゃんの荷物はオレが持とうか?」


「結構です」


「なんだよ、冷たいなー。ま、いいか。この旅行が終わる頃にはオレ達きっとラブラブだぜ?」


「ナイ」


拗ねる旭くんを放って、彩菜と一緒に座席に座った。


熱海までの1時間半じゃ食べきれないような量のお菓子が、次から次へと聡くんの鞄の中から出てくる。


「ちょっと聡!どんだけお菓子買ってきたのッ!」


「ん、こんだけ」


渡されたレシート、長っ!!


「ワリカンな」


「えっ!!冗談でしょ!?あたしらこんな量のお菓子、頼んでないし」


「彩菜~、かたい事言うなよ。旅を楽しむための演出だって」


「まったく…。あんた方、つくづくだよねっ。勝手に旅行決めるわ、お菓子買い込むわ、ちょっとそこっ!食べこぼさないのッ」


彩菜…すっかり引率の先生だよ…(笑)。
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