涙のスイッチ
3人でホテルを出て、5月の海。


まだ海水浴には早いのに、GWのせいか、思ってたよりも人が多い。


「あ、オレ、あそこの土産屋のぞいてみるな」


聡くんがさっさと海辺を離れるから、


「あたしも行くっ」


って、追おうとするのに、旭くんがあたしの手を強く引いた。


「美和ちゃん、海、見よ?」


「でも…聡くんが…」


「2人きり、イヤ?」


「…イヤとかじゃ、なくて」


「なら少し歩こ。オレ、ちゃんと話がしたい」


いつになく真面目な旭くんの目に、つい、頷いてしまう。
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