涙のスイッチ
「あのさ、美和」


「…うん」


「オレだってさ、同じなんだよ。

美和の言う通り、オレ達ってまだまだお互いの事知り足んなくて、さ。

時間も足りなくてさ。

だからすごく不安で。

どうしようもなく焦って。

で、たまにはそんな気持ちをわかってほしくて、ぶつけたくもなる。

だけど、ぶつかるって事は向き合えてるって事で。

また一歩前に進んだと思っていいんじゃねーのかな、って、オレは思う」


「うん…」


迪也くんの言葉はいつだって真っ直ぐで。


あたしのココロをすんなりほどく。


こんなに簡単に絡まったココロを解いてくれるのは、やっぱり迪也くんだからで。


旭くんじゃなく、迪也くんだからで。


だから窒息しそうだったあたしは、深呼吸できるんだ。
< 133 / 176 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop