涙のスイッチ
「オレもだよ」


「同じ…?」


「うん、同じ」


「そっか…」


「なぁ、美和さ、日記、書いてみない?」


「日記?」


「うん。今日は誰と何したか、日常のほんの1コマでいいんだ。書いてお互いに交換すんの」


「それって…交換日記…?」


「まぁ…そう言えなくもない」


照れたように迪也くんが頭を掻きむしるから、あたしは嬉しくて。


「うんっ!書く!」


やっと迪也くんの前で笑えるんだ。


「じゃあ、今日から、な?」


「うんっ」


「土日には練習終わってから会えるから、その日に交換」


「うんっ!でも、迪也くん、部活も勉強もあるのに…」


「大丈夫だよ。ほんの1ページで美和が少しでもオレを感じてくれるんなら、価値アリ、だろ?」


「うん、ありがとう」


「じゃさ、ノート買いに行こうぜ。オレ、寮行って着替えてくるから、ここで待ってろ。な?」


「うん、わかった!」
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